個別労働紛争

》 旧ブログ記事(2010年以前)

本日は社労士会に午後からいました。
時間があったので、社労士会の書棚から、ちょっと書籍を拝借。

発行年月日が、とても古い本でしたが、

やっぱり安西弁護士、素敵です・・・

以下、その書籍より少々、要点&引用を転載させていただきます。

「労働災害の民事責任と損害賠償〈上巻〉責任論のすべて―その法理論と取扱い実務 」
労災問題研究会 著・安西 愈 S56.2.15 第5版
(・第1節 労働災害の民事責任と刑事責任の成立要件はどうちがうか P.33~36 より)

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民事法-主として民法。その他、自動車損害賠償保障法などの特別法も含む。

大きな労災事故が発生したら労基署担当官も現場にかけつけ、刑事上の捜索を開始します。

労災発生 → まず「刑事事件」が問題に。

警察は刑法第211条業務上過失致死傷やその他特別法上の罪について捜査着手。
同時に特別司法警察員である監督署監督官は、労基法・安全衛生法の適用事業場の災害であるからして、専門的立場より捜査。

又、安全衛生法等にもとづき使用停止命令その他 行政処分が捜査等の結果 命ぜられることもあるから「行政処分」の問題も生じる。

次いで、その被災労働者(または遺族)からの損害賠償請求という、「民事事件」が問題に。

このように、1つの労災が発生すると

「刑事・民事・行政」の3つの方面から問題となる。

ところで、刑事事件と民事事件とでは根本的な考え方が異なる。

刑事:「罪刑法定主義」と「疑わしきは罰せず」という人権保護の観点からの制約。

刑事の成立については厳格な構成要件に該当しなければならず、類推解釈等は禁止。

又、立証にあたっても明白に、いわば100%の立証のない限り「疑わしきは罰せず」の原則に基づき無罪。
そしてこの立証責任は検察官(捜査側)にある。

一方、民事事件としての損害賠償請求事件の場合、

その目的が被害者に発生した損害を回復し補填するために加害者と被害者の間で、その分担を公平に行い、被害の救済をはかるというものである。

よって、成立要件は厳格ではなく、誰がどのような損害の負担をするべきかという割合をきめる根拠として考えられるものであるから、その成立範囲は広い。

又、民事事件の立証は「疑わしきは立証責任を負う側の不利益に」という原則。

更に、刑事事件は「黒でなければ全部白」と、グレーの中間はないのに対し、

民事事件は、過失相殺とか損害寄与率というように中間がある。

以上のような基礎的なことを誤解していると、民事問題において、被害者側との間で問題をこじらせる。

残念ながら、経営者の中には、そのへんの理解が十分とは言いがたい現状あり、いたずらに問題を紛糾させるケースも。

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労災も個別労働紛争に発展する場合がありますよね。

理解が十分・・・・、とは言いがたいのは経営者だけだろうか?

行政は民事の介入に限界がある。(民事不介入)

その逆に個別労働紛争制度では刑事不介入である。

なので、刑事的側面からの解決には利用できない。

しかしながら・・・

労働局は下部組織として労基法等を取り締まる監督署等があるわけだから、労働局の個別労働紛争制度では労基法違反等を伴う紛争は扱わないというの、理屈が通っており、その運用で理解できますが、

社労士会は?

なんだかなぁー

参考までに旧ブログで書いた、個別労働紛争に関する日記
http://keiei-roumu.sblo.jp/article/41799171.html

労働災害の民事責任と損害賠償〈上巻〉責任論のすべて―その法理論と取扱い実務 (1979年)/安西 愈

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