過料

》 旧ブログ記事(2010年以前)

法律違反をした場合、金銭的制裁の種類として、「罰金」「科料」「過料」があるのですが、
●「罰金」、「科料」・・・刑事罰
●「過料」・・・行政罰
労働基準法違反の場合、ほとんど罰金や懲役を伴う刑事罰だったと記憶しております。(労基法119条、120条に規定)
よほど悪質でないと、実際のところは書類送検されて、刑事的責任を問われていないようですが。
罰金以上の刑(道路交通法違反による罰金を除く)になった場合、市町村役場の犯罪人名簿に記載されたり、公的資格取得の欠格事由になったり、海外渡航に制約でたり、履歴書の賞罰欄に記載しないと虚偽記載となったり、いろいろ不都合が・・・
やはり前科者になるのが嫌なのか、監督署が指導権限を持つ法違反対策には気をつけている会社も多いと思います。


ところで、パート労働法の第6条(労働条件に関する文書交付の規定)違反は、「10万円以下の過料」なんですね。
違反の場合に行政指導等するのも、労働基準監督署ではなく労働局雇用均等室になるようです。
違反して金銭的な制裁を受けたとしても、前科とはならないんですね。
とはいえ、刑事罰より行政罰のほうが、刑事訴訟手続きを踏まなくて済む分、気軽に行使できそうな気がする(汗)
嫌な規定ですわね。(あまり均等法関係、個人的に好きじゃない)
よく自動車事故なんか起きた場合は、次の3つの責任があります・・・と説明しているパンフレットや書籍が多いです。
①民事上の責任(慰謝料や損害賠償)
②刑事上の責任(懲役刑など)
③行政上の責任(免許停止や取り消し、反則金など)
労務管理上は、刑事上の対策は以前から意識が強かったと思いますが、最近は民事上の紛争が非常に増加してきました。その対策を考える企業も増加してきているとは思いますが、
行政上は、行政取り締まり、行政指導とかあっても任意の部分であれば、ペナルティ、罰則ないんだったら、自分の理念と反することを指導された場合は反論する上でリスクはないよなぁ~、行政罰を規定してるの、何かあったっけ?、とか考えていたのですが・・・過料があったの忘れてました(汗)
2008年12月10日の日記で、就業規則作成において考える3つの視点を書きましたが、若干、修正しておきます(汗)
2008年12月10日より引用。赤い字の部分を追加しただけ(笑)
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就業規則作成において、次の3つの視点で考える。
①〔刑事・行政対策〕法律上、クリアしなければいけない強行法規の最低基準で制度を仮設計。その上で、会社の財務状況を勘案し、経営者の従業員に対する思いなど福利厚生規定等に反映し、必要に応じて余裕のもたせた制度設計に修正していく。
・・・これは、労働基準法など、労働法規を熟知していないと、ギリギリの設計はできません。OKとNGの境界線がわからず、うっかりやりすぎると強行法規を破ることになり、刑事上の問題など発生させるリスクを生じさせます。
お金ないのに無理な設計は会社の首を絞めます。しかし、お金なくても最低限、守らなければならない基準があります。
損得、金銭、からみます。
法定以上の休暇数や割増、雇用継続制度で再雇用制度でなく定年延長を選択など、よく考えないで設計してしまうと、後から「しまった・・・」と、泣きをみるかもしれません。
財布と相談して☆
②〔民事対策〕就業規則も民事的な「労働契約」として労使双方を拘束してしまうことを認識し、紛争回避および実際に紛争になったときのためのリスク軽減対策の規定を入れる。
・・・これは、実際に裁判になったような労働問題を分析し、万が一裁判になった場合も想定した考え方などを取り入れた規定をトラブルの予防、回避のために定めていきます。
近年、情報が入手しやすくなった等の背景により、とても民事の労働紛争が増加しています。いままで以上に、企業としては対策の必要性が増しております。
③〔組織の仕組みづくり・モチベーションUP対策〕社員の採用ルールなど、会社の運営上必要な業務手順を入れたり、会社の目指すべき企業風土構築のため経営理念などを入れる。
債権債務のリスクや、民事上の紛争リスクも低いジャンルかと思われますが、せっかく就業規則を作成するなら、ついでに活用しましょう。
まずは①と②がしっかりしていることが前提です。法律的知識に自信がないなら、余計なことを書くと、余計な紛争を誘発します。
③で独自性を出すのはよいのですが、契約文書(就業規則)に余計なことを書いて紛争の元にしないようにだけはお願いします。

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