~規模が異なれば、構造も、方針も、戦略も、はたまた行動も異なるし、事業によって、その適正規模や不適正規模も異なる~byドラッカー(「ピーター・ドラッカーのマネジメント論がわかる本」著・中野明 より)
手元にある書籍にかかれている、企業規模別「ヒト」対策という表が興味深い。
—ちょっと長くなるかもしれないけど、表より一部引用—
●規模/~30人(家族的労務管理)
1.人事労務方針
(1)トップの夢、ビジョンを全社員に話し、運命共同体として夢の共有化を図る。
2.人事労務管理手段
2-1組織・機能
トップ自らが人事労務機能を果たす。
2-2担当者
総務部門が担当を兼任
2-3規則・基準
(1)労務法上必要な諸規則・基準の設定
・就業規則・給与規程・旅費規程・慶弔見舞金規程
(2)他規程はトップの判断による
(3)規則、基準を守る習慣をつける
●規模/50人~100人(機能的労務管理)
1.人事労務方針
(1)トップの夢と社員に対する考え方を朝礼・会議等で常に話す。
(2)経営方針の中に「社員の幸せ目標」として明記する
2.人事労務管理手段
2-1組織・機能
専属の機能担当が独立
2-2担当者
人事(労務)の専任者を置く
2-3規則・基準
(1)慣習、前例、不文律の成文化
・就業規則・給与規程・旅費規程・慶弔見舞金規程・退職金規程・賞与支給規程・安全衛生管理規程・作業服支給規程・社宅、寮管理規程・人事考課制度
(2)他規程は慣習、前例を参考
(3)主な規程類は幹部に配布する
●規模/300人~(組織的労務管理)
1.人事労務方針
(1)経営方針に基づく人事・労務方針・理念の確立
経営方針書に記載。社員に発表
(2)人事・労務方針に基づく年度および中期労務計画の確立
2.人事労務管理手段
2-1組織・機能
人事労務部門の機能強化(実力ある経営幹部が責任者)
2-2担当者
ラインの管理者による日常の労務管理の充実(部門の労務管理を人事スタッフと連携とりながら実施)
2-3規則・基準
(1)モラール向上、組織運用での仕組みづくり
・就業規則・給与規程・旅費規程・慶弔見舞金規程・退職金規程・賞与支給規程・安全衛生管理規程・作業服支給規程・社宅、寮管理規程・人事考課制度・職務分掌、権限規程・資格制度・退職年金規程・教育訓練制度・表彰制度・車両管理規程・貸付金制度・住宅融資制度・提案制度・社内報制度・社内預金制度・社員持ち株制度・労働協約・共済規程
(2)新しいものの導入、古いものの見直しを計画的に実施(外部の専門家にも相談)
(3)主な規程は全社員に配布し、徹底を行う
—引用おわり—
(「人事が変われば、会社が変わる」著・タナベ経営専務取締役 中 静夫 より引用)
更に表では、労働条件、労働力管理、モラール向上策、コミュニケーションなどの項目が続いています。なかなか面白いです(笑)
あまり社労士が書いた書籍で、会社の具体的な規模別の人事制度など書いたのって少ないんですよね・・・
けっこう重要だと思うんですけど。
飛躍できずに成長が止まってしまう会社、内部がボロボロの会社って、規模によって幹部に求められる仕事が変わってくることをわかっていないケースが多いように感じます。
機能的労務管理をしていくべき規模になったにもかかわらず、いつまでも、なんでもトップが判断する家族的労務管理を引きずっていたのでは、トップ自らが会社の成長を阻害しているようなものだというのは、言いすぎかな?(苦笑)
逆に家族的労務管理規模のところに組織的労務管理レベルの文書類を導入したのでは、処理能力のオーバーフローをおこし、結局、活用しきれないものとなるのがオチでしょう。
昨日の日記の続きになりますが、そのため、けっこう就業規則をどのレベルまで作成するか迷います・・・
上記理由より、就業規則本則に付随する別規程など、増やしゃいいってもんじゃないですから。。。
家族的労務管理規模ぐらいだったら、思いっきりシンプル路線でいきたいのですが、解雇や訴訟トラブルとか万が一のリスクを考えると、どうしても就業規則が裁判や行政にて重要視される限り、服務規律・懲戒項目など文章で対応できるのにも限度があるじゃんと思いつつ、それなりの対策をせざるを得ない・・・ちょっとジレンマ(爆)。割り切るしかないかな。。。
現在、組織的労務管理の規模の会社であっても、そこに至るまで家族的、機能的労務管理を通過してきたと思います。
いきなり組織的労務管理からスタートではなく・・・
小さな会社で終わるか、大きな会社に成長するか。
必ずしも会社を大きくすることが素晴らしいこととは思わないけど、自分の価値観が会社を大きくすることが1つの野望なら、組織運営能力は重要で、ある程度の規模になったときに、自分にそれが足りないならブレーンを入れるべきですね。
なんとなく、11~13人、30人、50人、300人、1000人・・・ぐらいのところに、マネジメントの意識が微妙に変化する節目があるような気がする。逆に変えれないと、ちょっと・・・。根拠はない。なんとなくの自分の経験より(笑)
なので、最後の数行の数字は、気にしないでください(笑)
コメント
今痛烈に人事労務管理の難しさを感じています。当社は各部門のコア社員の世代交代が全くできていなくて、組織ごとの人事管理がほとんど機能していないのが実情です。能力のある人は3つも4つも仕事を抱えて、組織のマネジメントに注力が注げない状態ですし、明確な管理手法や職務権限も文書化されてません。形上の規定類は存在していますが。。。
上場企業であるがゆえに内部統制上の問題点はクリアな形で4月迎えなければいけないのですが・・・実際は表面的な体裁を整えるので精いっぱいの状況です。
自分も含め中途社員が組織の中核をなし新しい風を吹き込んではいますが、人材の高齢化になかなか有効な手当てが出来ないことも人事労務管理を難しくしている原因の一つかもしれません。
ま、あまり短絡的に物事を考えすぎてもすぐに行き詰ってしまうので、最近はいろいろ口をはさみながらも本人たちのやりたいことをたっぷりと聞いてあげることが一番かなって思っています。
kazuさんもたまには息抜きしながら傍観者の目で組織を見てみるのも面白いかもしれませんね~
いとーたろーさんへ
4月といったら、もうすぐですね(汗)。。。
大きい会社でも実際は内部がボロボロってよくあることで、それでもなるようになっていく・・・
心配をよそに、どうにかなっているのを目にして、組織って不思議だなぁ~と思ったことが過去に何度もあります。いつ爆発するかわからない爆弾を溜め込んでいるようにも見えますが、多くは不発弾で終わっているようで(笑)
改革には、これを阻む壁が3つあるといいます。
・物理的な壁(モノの壁)
・制度的な壁(しくみの壁)
・意識的な壁(こころの壁)
この中で一番厄介なのが、最後のこころの壁・・・
昔、私がシステム導入、運用維持に失敗したのは、スタートが悪くて、こころの壁を破ることができなかったのも敗因の1つと分析しております(苦笑)
当時、20代半ば、入ってすぐ。しかも正社員でなく派遣社員(笑)。
私よりずっと年上の社員さんからも能力的には認めてもらえていたようで、私のやることに批判的な意見はまったくなかったです。業務をすすめる上で人間関係は良好・・・
しかし、ある程度以上のレベルの文書というのは組織にも影響すること。文書が組織をつくる・・・
重要な文書であったのにもかかわらず、経営に口出しできるような立場でもなかったので、トップダウンでなくボトムアップだけでなんとかやろうとしてしまったんですよね・・・
所属長のお墨付きとしては進行していたのですが、それだけでは当時の私の年齢、立場では後光が足りなかった(笑)
あまりよい書き方ではないですが、協力してもメリット、評価されるかわからない、怖い、厳しい存在がいないという状況では、新しいことを覚え、面倒な仕事が増えるよりもいまのやり方でいい・・・と、特に年配のヒトは抵抗勢力に(泣)
組織の中で横の関係や上の関係の人にもなにか影響を及ぼそうとするときは、ちょっと工夫が必要ですね・・・。そして自分より年配の人の扱いにも、ちょっと配慮が必要だったり・・・。
それでもやらなくちゃならない仕事ならば、社長など、かなりの裁量権もった人からの理解を得て「大義名分」をいただくのもスムーズに仕事をするコツなのかなと、少し思います。
マネジメントシステム構築の推進はトップダウンで、実際の作業整備はボトムアップでというパターンが必要になるわけですが、このトップの理解と承認、強力な後押しをえるということが、本当に改革を進める上で重要なキーになり、これがないと各部門からの協力が得られなかったり、システムをつくっても死んだ文書、絵に描いたもちになり、作成した人が無力感におそわれたり・・・ってなるような気がします。
あくまでも自分の経験および一般論です。
様々な人がいるし人間の感情も複雑なので、知識を知ったところで、思い通りにならない、どうにもならないことが実際にはとても多いですから、難しいですよね。。。
そもそもトップの理解が得られなくて悩むケースも多いでしょうし。
人間が相手のことだけは、本当に理論理屈、計算どおりにいかないこと多いですね(苦笑)
それでも一般論や他人の経験が参考になったりすることも多いので、勉強しちゃう私でした(笑)
新しいシステムの導入、ほんと難しい・・・
私も理想と現実のギャップに苦しんだことがあるので、言うは易し行うは難し・・・を痛感しております。
なんかシステム導入の話を書きたくなりました。
本日か近日、ブログにこのネタで書こうかな(笑)