備忘録

》 旧ブログ記事(2010年以前)

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
備忘録
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・労働者派遣法改正案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091228-00000077-mai-pol
12月末に出てましたが、なんだかなぁ・・・って内容ですね。
いまこの不景気の中、企業と労働者、どちらに対しても「・・・・。」って内容の気がする。
いま派遣の仕事すら、得るのが難しい状況なんじゃないでしょうかね。
派遣を規制して、派遣社員採用を難しくしたら、企業がハイそうですかといって、すぐに正社員の雇用を増やすとかは考えにくい経済状況である。対策として、製造業などは安い労働力を海外へ求める企業も増えてしまうかもしれない。


雇用を増やすのがいまは最優先のような気がするが、逆に雇用を減らす方向へ加速したりして・・・
このような法改正は、企業に体力ある景気回復期や好調のときにやるべきで、景気悪化してからではタイミングが悪いように思うのだが。(そもそもの内容も気に入らないですがね(苦笑))
そして施行、最大5年の猶予があるという。
5年後の景気がどうなってるかわかりませんが、政府は何をやりたいのでしょう?わけわからん。
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・どうでもよいことが気になる・・・
例えば自動車事故が起きた場合、加害者には法的責任(民事上・刑事上・行政上)と社会的・道徳的責任が生じます。この法的責任は、民事上の問題単独のこともあれば、民事上、刑事上、行政上の3つの責任が同時に発生という場合もあります。
①民事上の責任(慰謝料や損害賠償)
②刑事上の責任(懲役刑など)
③行政上の責任(免許停止や取り消し、反則金など)
④社会的・道徳的責任
この4つの責任は、企業における労務管理の現場でも当てはまります。

上記については、何度かこのブログで触れています。
(例えば2009年08月12日の日記など)
http://keiei-roumu.sblo.jp/article/31249818.html
法学部出身で私より何段も優秀な人から労働法関係の話をしてもらっていた際に、裁判(民事)でOKなら労基法上も問題なくなるような(民事・刑事、混同?!)、「????」と、かすかに違和感を感じる説明をされたことがあります。それも1人でなく、複数人から、似たような体験を受けました。
冒頭に触れた、4つの責任の分類の考え方は、労働法関係(安衛除く)の書籍で見かけることはありません。(少なくても、私はいままで見たことない)
不思議です。
トラブル、紛争が起こった際は、まず、その問題が「4つの責任」の中のいずれに該当するのか判断することが大切になってくるように思います。
なぜなら、4つの責任のどれに該当するかによって、具体的な解決方法が異なってくるからです。
恥ずかしながら、この考え方に辿り着くまでは、社労士試験に合格はしたものの、刑事も民事もゴッチャで、労働者から賃金未払いを相談された際は、ただ労基法違反ということしか頭になく、刑事と民事、それぞれの側面から理論的、具体的な解決方法を説明をすることができないでいました。
又、経営者から「解雇予告手当を払えば何ら問題ないでしょ?」「罰則ないならいいじゃん?」という話をされても、刑事上問題なくても民事上のリスクがあるという説明を上手くできないでいました。
そして過去に対応した某指導に対しても、「指導に従わなかったらどうなるんですか?」という問いに対して返ってきた、「行政指導に従わないことになります云々(詳細はさすがに書けない・・・)」といった反撃に負けてしまい妥協してしまいましたが、いまなら分類するとそれは行政が考える企業に求める「社会的・道徳的責任」に該当するものであり強制力、罰則はなく、もっと強くねばれたかも(苦笑)
(基本的に、強制力はなくても行政指導されるような問題を放置していれば民事上のリスクを高めることにもつながりかねないので、指摘されれば素直に対応すべきだと思いますが、納得できないものまでは・・・)
そもそも刑事と民事は性質が違います。
刑事上の責任は社会的制裁など求めるのに対し、民事上の責任は権利や損害の填補などを求めるものですよね。
いまなら、例えば労働者から相談を受けたら、「○○○については、刑事上と民事上の2つの法律責任が同時に発生します。刑事上の側面からは、×××といった解決方法があります。民事上の側面からは△△△といった解決方法があります。刑事上と民事上の解決方法を同時に進めることもできますし・・・」等といった感じに説明したりしてます。
最大の味方は最大の敵にもなりうる・・・ってことで、逆に経営者から相談を受けたときは、「○○○については労働者から、刑事上は×××といったリスクが考えられ・・・」ってやってます。
以前の私がそうだったように、労働相談される方の多くが、民事も刑事もゴッチャゴチャ。
不当解雇を監督署に訴えれば監督署が会社を懲らしめてくれると思っていたり、最終的に刑事罰や行政罰が生じる恐れのない指導にも厳格に考えてしまったり・・・
相談を受ける際は、頭の中で4つの責任に基づいて交通整理し、適切な解決方法のアドバイスする必要がでてきます。
そのため普段から、労働分野の勉強会や研修を受けているときも、「企業として問題ある事例の話してたけど、いまの話は刑事上(労基法上)は問題にならないよね?民事上の問題があるということか・・・」「あれ?いまの話は判例(民事)では問題ないようだけど、刑事上は?」など、話を聞きながら頭の中で仕分け作業する癖がついています(汗)
最高裁で判決が出て、判例として固まってきていることであったとしても、民事で問題ないとなったら、=(イコール)で刑事上も問題なしとはならないと思う。
最高裁で判決が出てるのなら、そのうち通達により判例に影響受けた行政解釈など新たにでるかもしれないけど、それまでは行政としての公式見解はないということですよね。
そうなると、いくら最高裁(民事)でOKだったからって、刑事ではグレーだよなぁ・・・
特定社労士のゼミナールのときも、弁護士さんの話を聞きながら、頭の中では仕分け作業が行われていました(汗)
そしてどうでもよい質問をしてしまったり。
例えば、賃金の支払い。
法第24条にて、賃金は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないこと、賃金から税金、社会保険料等法令で定められているもの以外を控除する場合には、労使協定が必要であること、が定められています。
法律の条文を読む限り、賃金から控除は限定的ですよね。
なお、第24条の違反には「30万円以下の罰金」という刑事罰がついています。(ペナルティのリスクがないなら、なんら気にする問題ではないのですが・・・)
しかし、判例では「労働者の自由な意思による同意があれば相殺できる」とされていて、労使協定に関係なく賃金からの控除を認めていたりします。
弁護士さんから、労働者の「自由な意思」による同意があれば相殺できる・・・といった解説をしてもらった後、
「民事上では問題ないとして、刑事上も問題ないですかね?」
実務上、社会保険労務士としては、監督署対策も大切となってきます。
まず、最高裁の判例もあることだし、本人の自由な意思による同意があれば、労使協定がなくても賃金控除したとして刑事上の違法性を問われることはないと思いますがね・・・
「就業規則の賃金規程において、賃金から控除することができるものとして、法令に定めるものと労使協定を規定していること多いのですけど、それに追加で『従業員の自由な意思による同意があったもの』って入れても問題ないですかね?やっぱり監督署でNG出されますかねぇ?」
さきほど、手元にある書籍を何冊か見てみました。
「理論的には、労働者の同意があっても使用者の法違反は成立するのが労基法の建前であり(たとえば賃金の天引契約も当然に無効となる)、また全額払原則の例外は過半数組合または過半数従業員代表の集団的合意があって初めて認められるはずなので、判例の解釈は疑問である。実際上は、労働者の使込み金返還や住宅ローンの返済等をめぐって合意相殺の手段が用いられることが多いが、このような定型的な必要性には労使協定を整備して対応すべきである」
(労働法 第7版/著・菅野和夫 より引用)
判例の解釈は疑問と書いているけど、民事の判断と行政解釈が必ずしも一致している必要はないような・・・
判例の積み重ねにより、おおもとの法律や行政解釈もよい方向へ変わっていくのが望ましいとは思いますが、タイムラグがあるでしょうし。
労働者にとっても不利益がないのであれば、労使協定がなくても賃金控除OKでいいじゃんと思いますので、判例を支持したいところですが、新たな行政解釈といった公式見解が出されていない以上、監督署でもOKでるかといったらグレーだよなぁ・・・と思っていた私と考え方、近い?
でも上記の「労働法 第7版/著・菅野和夫」からの引用の考え方は少数派みたいで、従業員の自由な意思による同意があれば労基法24条に反するものではないと結論付けているもののほうが多いかなぁ・・・うちにある書籍では。
裁判所と行政解釈が異なるということは多々あることですよね。
管理監督者についても、民事裁判の判決内容と行政解釈はけっこう異なる。
年休についても時間単位(※法改正でなく従来からの話です)、半日単位は行政解釈でOKであるが時間単位については書かれていないのでNGのようである。
安西さんの書籍でも時間単位は認められないと書いている。
しかしながら行政判断が仮に駄目だったとしても民事ではOKになるような気がする。
実際、時間単位の年休を認めた判例があるようである。ちょっと詳細が確認できないのでなんともいえないところはあるのですが・・・。(1時間年休:東京国際郵便局事件東京地判平5.12.8 労判640-15)http://www.jil.go.jp/hanrei/conts/029.htm
時間単位の年休制度は育児や介護をしている女性従業員にとってとても助かることだと思うので、これは法律を上回る取り扱いですよね?!と、あえて監督署でも問題にするほうがおかしいでしょ?と、個人的には主張したい。
さて、まだ書きたいところですが、このへんで。

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