上杉鷹山、刑事と民事、労働判例の学習方法など。

》 旧ブログ記事(2010年以前)

「上杉鷹山」
週末は読書をして過ごしていました。1冊読み終わり、1冊途中まで。
童門 冬二・著の「上杉鷹山」についての本、大変面白かったです。そのうち時間あるときにでも感想書きたいと思います。
いまこのご時世だからこそ、参考になるところが多いです。政治家や行政機関、企業のリーダーに読んでもらいたい内容です。いや~、ぜひ大河ドラマでやってもらいたいかも(笑)


行政が本当に、国や地域を良くしたいと思っているなら、まずは自分たちから変わるべきだと思うんですよね。
経営改革や行政改革で、①制度の壁、②物理的な壁、③意識の壁 のうち、一番大きな壁となるのは意識(こころ)の壁で、一番壊さなければいけないのも意識(こころ)の壁・・・
そのために、①情報の共有、②職場での討論を活発にする、③その合議を尊重する、④現場を重視する、⑤コミュニケーション回路を太く短く設定、⑥トップダウンとボトムアップを滑らかにする・・・などといったことの方法を鷹山はとったそうな。
そして鷹山は特に、「職場の問題児」を登用。それはトラブルメーカーのほうがイエスマンよりもよほどパワーを持っているから・・・
~各持ち場では、その持ち場における討論を活発にしてもらいたい。身分の上下に拘わらず、思うように意見を言い合えるような職場作りにいそしんでもらいたい。また、そこで働く人々も身分や年功や、経歴や、年齢などを気にすることなく、これが領民のためになると思うことは、遠慮なく言ってもらいたい。そして、そこで合意された良い意見は、組織を通じて、必ず私の手許まで上がってくるようにしてもらいたい~
~城内の藩士たちの勤務ぶりを見ていると、必ずしもすべてが仕事があって城に来ているのではないように思える。特に文書を扱う部署では、1日中、てにをはの使い方を議論していて、終日暮らしてしまうような者もいる。これはお互いに無駄ではないか。大体そういう仕事は廃止すべきだし、またそういう職場もいらない。文章などというものは、修飾語に労を費やすのではなくて、いつ、誰が、何のために、何をしたという5つの要点が備わっていればそれで良い。美しく飾る必要はないのだ。意味が分かればそれで良い。それをああいう形で形容詞や副詞に時間を費やすのは大いに無駄である~
<引用:経営改革の祖 上杉鷹山の研究 危機を乗り切るリーダーの条件 著・童門 冬二 より>
日本の行政、優秀な人材がたくさん採用されているにも関わらず、その能力が活かされていない使い方されている人も多く、もったいなく感じる。
コスト意識をもって業務改善、効率化し、余裕の生じた時間で、生産性の高いことを議論し、それを政策に反映していくとか、もっと若い優秀な公務員さんの活用の仕方というのがあるような気がするのだが・・・
どうも元々、頭のいい人達が集まっているだけに、知恵の使い方が悪知恵のほうに偏っていくケースもたまに見受けられる。
動脈硬化を起こしそうな、硬い組織に変革は可能かしら・・・
自己改革・・・意識を変える、まずその一歩として、対外的にはその役職名を残すのは仕方がないとしても、内部で肩書きで呼び合うのはやめたらどうだろうかと思う。
意外と、言葉の持つエネルギーは潜在意識に影響し、意識の壁をつくる。
フラットなコミュニケーションを重視する民間企業の中には、とっくの昔に役職名で呼び合うことを廃止し、お互いを「さん」付けで呼び合うことにルール化した会社も多いのだが。
いつまでも古い体質の組織で、日本のこれからをよい方向へ変えていけるのだろうかと懸念してしまう。
江戸の時代、もう財政破綻寸前の、死にかけの米沢藩を、外部から来た若き鷹山が、どうやって乗り越え、立て直したか・・・
とても教訓が多かったです。
*****
「刑事と民事の境界はどこ?」
賛否両論でてきそうだが、監督署があるおかけで、事業主さん、けっこう助かっている部分ってあるかも・・・と、民事訴訟を知るほどに、最近、思うようになってきた。
問題が大きくならないよう、予防に貢献しているように思う。
例えば賃金未払い。
労働者にしてみれば、賃金支払いの契約を破った債務不履行であり、いきなり裁判所へ民事訴訟して賃金の支払いを求めることも可能。
その場合、労働基準法上、下記のような条文があるんですね。
(付加金の支払)
第114条 裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から2年以内にしなければならない。
知らない人もいるかもしれないので念のために書くと、賃金未払いについて、監督署には差し押さえまでして強制力をもって経営者に支払いを命令する権限はない。
賃金未払いの労基法違反に対して、本来は即時司法処分にしてもよいところ、直すなら例外的に送致は猶予しますってことで、是正勧告し、違反を改善するよう指導することになるわけですね、
その結果、是正勧告に従わず悪質なケースに関しては、本当に書類送検し、刑罰を問うことになるわけですが・・・
刑罰を与えるのは裁判所なんですね。監督署は捜査し、検察へ送検するものの、検察が起訴するかどうか決め、起訴しない場合も多々ある。起訴となったとしても、裁判所は起訴された事件の有罪かどうかや量刑を決めるわけですが、判決が下ったとしても、サービス残業の場合は、最大で6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金の刑罰・・・
そして刑事裁判で有罪の判決が出たからといって、賃金未払い分を自動的に労働者へ払えという命令が出るわけじゃありません。
結局、労働者が債権(未払い賃金)を回収したいなら、民事訴訟へ・・・
経営者に支払い能力がない場合は民事訴訟をやったところで・・・って話になるけど、資産能力がある場合、付加金なども要求可能なので、裁判をやられたほうが痛い目を見ます。それぐらいだったら、監督署から指導受けたときに従っていたほうが小さい傷口ですむように思います。
いままでは裁判っていうと、とても意識の上で高いハードルを感じ、そこまでは・・・ってことで終わっていたかもしれないけど、情報が氾濫し、陪審員制度も導入され、裁判制度が身近になってきたら、これから先はどうなるかわかりませんよね・・・
監督署の指導、経営者にしてみれば、耳の痛いところもあるかもしれませんが、民事紛争になった場合は、かなりそれ以上の痛い思いをする可能性もあり、まずは日頃の労務管理において、監督署から指摘されないような注意、義務を履行してほしいかな。
法律は、知らない人が損して、知っている人が得をするという面があります。
まずはほんと、財務状況が緊迫しており残業代支払いの余裕がなく、このままだと労基法違反になってしまうとかの状況でしたら、法律違反にならないような賃金設計や人事制度、就業規則の見直しなどで違反を回避できる場合もあります。ご相談くださいませ・・・
どこからがどこまでが刑事上の問題で、どこから先が民事上の問題になるかの境界線がわからないと、けっこう実務上の労働相談において適切なアドバイスができない場合もある。
例えば労働条件不利益変更。
経営者が一方的に賃金を引き下げた場合。
原則として、労働条件を決めることも「契約」である。契約を双方の合意なくして一方的に変更することはできない。
経営者が一方的に賃金を引き下げ、労働者の合意を得ていない場合は、従前の契約のままということで、勝手に賃金を引き下げて給与を支払った場合、労基法24条(賃金の支払い)違反となり監督署でも指導、刑事処分の対象となる可能性がある。
しかしながら、個別に労働条件の変更の合意を得るのではなく、就業規則を変更し、就業規則に基づいて賃金引下げを行ったら?
どんどん自分、悪知恵が増えていっているかも(笑)・・・それは冗談にして、
・・・書いていると長くなるし、このような事例は多数あるので、面倒なので省略。
せっかく、いろいろとネタを持っているので、その知識を活かし、セミナーやるとか執筆するとかすれば儲けにつながるのでしょうが、喋りが苦手だし、ものぐさだからなぁ・・・(苦笑)
自分は、民法の原則の
(民法第1条2項)
「 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」
・・・という考え方に共感する。
なので、経営者に対しても労働者に対しても、権利ばかりを主張したり、義務を果たさず権利濫用と思われるようなことを心苦しいとは思わず平気でするような人については、快く思えない。信頼関係を重んじたい。
法律云々の問題ではない。自分さえよければいいという考え方ではなく、従業員に対しても、一緒に頑張っていこうや、一緒に よりよくなっていこうや・・・という気持ちのある経営者さんを応援したい。
自分の儲けとか関係なく、経営者さんと労働者の双方の幸せに貢献できるのであれば、リアルに知り合いの同業者の方で個別に聞いてくだされば、私の知っていることであれば、「どう思う?」と、質問されれば私の見解を回答します(笑)
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「情報の一元化」
勉強の仕方は、人それぞれであるが、元来、私は ものぐさな性分からして、勉強に際しても、まずは、これは・・・と思った教材を 繰り返し読んだりして消化するよう努めるところがある。
あれもこれもと教材を増やしても、自分の性分を考えると、消化不良に陥るのが目に見えているからである。
1つの教材を習得してから、必要に迫られたり、部分的に興味を覚えたところについて他の参考書籍等をもって深く追求していけばよいと思っている。
労働判例の学習についても、その都度その都度、つまみ食いのように学習していくという方法もあるだろうけど、体系的に全体を把握できるような、これはという書籍を1冊、まずは消化して、あとは必要に応じて知識を追加していくという学習方法のほうが、いざ相談を受けたときに、最低限のベースは出来上がっており、うろたえないような気がする(笑)
この、「これはという1冊の書籍」の選択というの、重要かもしれない。
選択を誤ると、いまいち学習効果が薄れて、実際に労働相談を受けた際も役に立たず、結局、分散した情報の中から、必死にアドバイスの材料を探すことになるように思う。
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さて、長くなってきました。今日はこのへんで。

コメント

  1. 労働問題?
    グッ!タイミング
    お聞きしたいことがありますので、宜しくお願いします。
    後で、連絡します。

  2. piropiroさんへ
    先ほどはどうも(笑)
    了解です☆

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